むずむず脚症候群(RLS)



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治療方法

非薬物療法

症状が軽度の場合は非薬物療法(日常生活指導)を

現在のむずむず脚症候群の治療は、症状をおさえることで患者さんのQOLを改善させることが目的となります。症状が軽度の場合には非薬物療法(日常生活指導)を行いますが、重度の場合でも薬物療法と非薬物療法を併用することが望ましいとされています。

主な非薬物療法(日常生活指導)

  • カフェイン入り飲料、アルコール、煙草をやめる
  • ぬる目の風呂に入る
  • 就寝前にストレッチ体操をする
  • 足裏マッサージをする
  • 規則的な就床
  • 健康的な食事と適切な運動
  • 睡眠日記をつける

非薬物療法にも個人差がありますので、睡眠日記を付けることなどにより、各自にあった非薬物治療法を見つけることが良いでしょう。
その他約10項目ありますが、詳細は会員専用ページを御覧になって下さい。

新非薬物治療法

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診断について

むずむず脚症候群患者の受診(初診)前の心構え

むずむず脚症候群(RLS)患者だけでなく、診察を受ける際の患者の心情は不安で一杯です。その不安の状態で先生に次々に質問されますと、その対応で一杯になり、お伝えしたかったことを、ついつい忘れがちであり、後になって後悔することが多いものです。対策として、下記の事項を事前に準備をし、書きとめておき、診察を受けることを提案いたします。

事前準備事項

  • 非薬物療法を実施しても、なお日常生活に支障が出る場合に診察を受けることが大切です。
    理由:
    RLSは慢性病であり、治療薬も根本的なものではありません。従って現時点の医療技術では半永久的に薬を服用せざるを得ません。非薬物療法で症状が緩和される方もおられます。出来るだけ薬に頼らず、仮に薬の治療を受けた場合でも、非薬物療法は続けることが重要です。ただし、下記No.2に示すような他の病気がある場合は、早く診察を受けたほうが良いでしょう。
  • 現在及び過去に病気があるかどうかを主治医にお伝えする。
    貧血(鉄分不足)、腎臓関係、肝臓関係、精神病(特にうつ)、昼間の眠気、妊娠の有無など
  • 症状を書きとめておき、診察時に主治医に見せる。
    発症した時期、症状が出る時間帯、症状の表現方法など。
    症状例:むずむず、ピクピク、ほてり、かゆみ、痛み、コムら返り
  • 現在服用中の薬の名前と量、服用開始時期、服用時刻を主治医に伝える。
    特にうつ病、胃腸薬(吐気止めなど)関係の薬について
  • 血縁関係の家族に同じ症状を持った方がいるかどうか事前に調べておき、結果を伝える。
  • 睡眠日記をつけて、体調との関係を調べ(特に就寝前後の状態が重要)主治医に見せる。
    理由:
    その日の体調によって、RLS症状は変動するものです。何が原因で睡眠に影響を与えているか長期的な観点で、調べていくことが肝要です。受診後もつける癖をつけましょう。
  • 薬の副作用が出た時の対応を主治医にお伺いする。
    理由:
    副作用が出る場合があります。薬の量が長期間処方の場合や、次の診察までの期間が長い場合には、その間の対処方法を事前にお伺いしておくことが大切です。例えば、薬の減量(例えば半分)又は中断してもよいか?先生に直接相談の電話をしてもよいか?
  • 次の診察を出来るだけ1週間後にして頂くようにお願いする。(初診時のみ)
    理由:
    RLSは慢性病であり、かつ、加齢とともに進行する場合があります。従って、医師は薬の量を出来るだけ少量から処方される場合が多いので、当初から効果が少ない或いは無い場合があります。又少量でも副作用が出る場合を考慮すると、1週間後に再診を受けるのが妥当と思われます。
    注1:異常な状態が発生した場合は直ぐにでも先生に連絡する。
    注2:病院の事情により、2週間になることはやむを得ない。
    注3:友の会の調査では、他に病気がない場合、1週間以内に効果がある場合が多い。
  • 入院検査(一泊入院)を受けた場合は検査結果を正確に伺う。
    理由:
    RLS患者は約80%の患者が周期性四肢運動(PLM)の症状があります。入院検査はこのPLMの発生回数を確認することが主目的です。 従って、その運動の回数が何回あったかを知ることが、総合的に病気の重症度を知る上で大切です。
  • 血液検査は必ず受けましょう。
    理由:
    RLSの原因の一つに鉄分不足・葉酸不足があります。
    その場合治療方法が異なることもありますし、比較的軽くすむ場合もあります。腎臓や肝臓が悪い場合は、RLSの薬が悪い場合があります。 (ビ・シフロール、ドミン:腎排泄性のため腎不全患者(透析患者)への処方には要注意) (レキップ:肝排泄性のため肝臓の悪い患者への処方には要注意)最近の血液検査の結果が有れば持参して主治医に見せれば、検査を省略することもあるでしょう。

むずむず脚症候群友の会

薬物療法

多くの患者さんが薬物療法で症状を改善

患者さんの多くは、適切な薬物療法で症状が大幅に改善します。一般的にはドーパミン受容体作動薬(非麦角系)が第1選択薬として使用されています。日本では保険適応の薬はビ・シフロール、ニュープロパッチ(貼付薬)、レグナイトの3種類ですが、保健適応外で処方されている薬が多くあります。(下記一覧表参照)

薬物療法に使用される薬の種類

  • パーキンソン病(非麦角系・ドーパミン受容体作動薬)
    パーキンソン病薬でも麦角系に薬はオーグメンテーションが発症しやすいので現在では殆ど使用されていません。
  • 抗てんかん剤
  • 漢方薬
  • 疼痛治療薬

など

薬の紹介

薬の一覧表

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パーキンソン病薬
(非麦角系)
パーキンソン病薬はてんかん病薬と比較して効果は高いが、オーグメンテーションが起こりやすく、注意が必要です。特にビ・シフロールはオーグメンテーションの発症率が高いようです。詳しくはオーグメンテーションのページを見てください。なお、レキップは未承認薬ですが、欧米ではRLS用として承認されていて、ビ・シフロールとほぼ同じ程度処方されています。日本でも普通に処方されています。

参考:医師坪田栄先生の記事「今使えるむずむず脚症候群の治療薬3つの違い」は非常に参考になりますので、覗いてください。

てんかん病薬 リボトリールとランドセンは製薬会社が異なだけで同じ成分の薬である。未承認薬ではあるが効果は比較的高く、価格も安い。ただし、ベンゾジアゼピン系の製品なので、大量に服用するのは控えたい。(1㎎迄か)
漢方薬 副作用が少なく、症状の軽い患者様におすすめです。
疼痛治療薬 欧米ではトラマドールは約5%、リリカカプセルは約2%使用されている。日本ではRLS用としては殆ど処方されていない。しかし特別の配慮をすることでRLS用として非常に高い効果があることが、友の会の人体実験で確認されている。(詳細は会員専用ページでご覧になって下さい。)

副作用の一覧

副作用発生率

副作用の発生率についても弊会でもアンケートを実施しましたが、約半数が副作用を経験していました。製薬会社が公表している治験時のビ・シフロール、レグナイトおよびニュープロパッチなどの副作用発生率は、それぞれ副作用の種類を総合すると58.6%、56.7%および73.1%であり、かなりの高率を示しており、アンケート結果の51%の発生率は妥当な数値と考えられます。

副作用の種類

重大な副作用 突発的睡眠 / 幻覚(幻視) / 妄想 / せん妄、激越 / 悪性症候群依存 / 呼吸抑制 / 多呼吸発作 / 息くるしい / 窒息感 / 頭痛 / 頭が重い / 刺激興奮 / 肝臓の重い症状 / だるい / 食欲不振 / 吐気 / 発熱 / かゆみ
特に突発的睡眠については、他者に障害を及ぼすことがあるので、自動車運転には特別な注意が必要です
その他の副作用 眠気 / ふらつき / 意識障害 / 血小板減少 / 好酸球増多 / 過敏症状 / 性欲減退 / 病的性欲亢進

以下は製薬企業が薬の臨床治験時に発生した副作用の種類と発生率を示した値です。

  • 注意①:オーグメンテーションは臨床試験時には話題にもなっていなかったのでデータは存在しない。
  • 注意②:(  )内のデータは治験時の時以外のデータであり、パーキンソン病の患者も含めたデータである。パーキンソン病の患者は薬量もRLS患者と比較して大幅に多いことを考慮すべきである。
  • 注意③:突発的睡眠および幻覚は重大な副作用として記載されているデータであり、主にパーキンソン病患者のデータと思われる。
  • 注意④:口内乾燥についても臨床試験での副作用には記載されてなく、通常の副作用として記載されている。この値もパーキンソン病の患者のデータと思われる。

友の会の副作用の発生についてのアンケート結果は以下になります。

ここで「口内乾燥」、「突発的睡眠」、「オーグメンテーション」及び「RBD」について説明します。

口内乾燥 「口内乾燥」は製薬企業の治験時のデータには記載されていないが、今回の調査では図で示すように12%も発生しています。これは薬の副作用ではなく、個人特有の症状である可能性もあります。筆者もぐっすり寝ていると口を開けた状態で寝る場合が多い。その時に口内乾燥が発生しています。口を開けて寝るための口内乾燥か、薬の副作用か見分けることは、おそらく困難ではないでしょうか。
突発的睡眠 「突発的睡眠」は治験の時のデータには記載されていなくて、重大な副作用として、0.1%~0.5%発生していると記載されていますが、当アンケートでは9%(12名)という高率で発生しています。おそらく「傾眠」の症状との誤判断が有るのではないかと思われます。筆者は時々夕食中に突然強い眠気が出てきて、食べ物を口に入れたまま寝てしまうことがあります。この時は突然と言っても2~3分前に強烈な眠気が発生している。(私の場合は必ず夕食中に発生します)。この状態を「突発的睡眠」とするか、または「傾眠」とするか微妙です。傾眠と突発的睡眠との違いを明確にすべきと思います。突発的睡眠とは事前に何らの兆候もなく眠ってしまう症状だとすれば、その発生率は極めて少なくなると思われる。
オーグメンテーション 「オーグメンテーション」の発生率が7%(12名)となっています。この値は調査のたびに変化しています。前回のアンケート調査では約20%の発生率でありました。また専門医師の調査ではビ・シフロールでは約10%となっている。実際に患者自身がオーグメンテーションを判定することはかなり難しいのではないでしょうか?恐らく医師でもオーグメンテーションの判定には一定していないと思われる。なおオーグメンテーションと遺伝との関係を調査したが明確な関係は存在しませんでした。
詳細は会員専用ページをご欄になってください。
RBD 「RBD(レム睡眠異常行動症)」が3%(5名)も発生しています。この症状が副作用であるかどうか疑問であるが、筆者自身の経験(3~5年前に年間で5回ほど発生。この2年ほどは発生なし。)からして薬の副作用と考えられる。この症状は非常に危険なものである。レム睡眠中に非常に恐ろしくて怖い夢をみて、布団より起き上がって異常な行動(ある意味で暴力的)をする症状で、非常に恐ろしい症状であり、実に怖い病気である。
この症状はパートナーに障害を及ぼす危険性があるので注意が必要である。出来れば別室にて就寝することが望ましい。

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むずむず脚症候群の診察は日本睡眠学会の睡眠医療認定機関で診察を受けることをお勧めいたします。近くに認定病院がない場合は日本睡眠学会の睡眠医療認定医師がいる神経内科や精神科などの専門医などにご相談されることが良いでしょう。詳しくは、日本睡眠学会ホームページの睡眠医療認定医リスト内にある認定機関、及び認定NPO法人日本ナルコレプシー協会ホームページの睡眠障害専門病院リストを参照ください。

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